アニメ:少女終末旅行

アニメ:少女終末旅行


公式)http://girls-last-tour.com/

ニコ動チャンネル)http://ch.nicovideo.jp/girls-last-tour

ステータス)2017年10月現在放映中。第一期。


視聴者)

原作を知らない。世界の終わり的な終末系物語は割りと見る。

概要)

世界の終末が戦争によってもたらされたと思われる後の物語。幼児だった主人公たちが少女になる程度は過ぎた後、二人は旅を続けていた。それは上へ上へと目指すだけの、目的があるようで無いような旅。そこで見る文明の欠片と素朴な問いかけ。二人にとってはこれが当たり前の生活で比較対象が無いだけに何ら悲壮感は無く淡々と続く。

向き不向き)

非常事態下の日常系アニメ。大概この手のは緊張の連続だが、これは日常系なのでそうしたことは無い。人によっては極めて退屈と感じるだろう。何せこれといった事件も起きず、登場人物は少女の二人だけ。絵柄も好みが大きく別れる。世界のリアリティーに対して少女達が完全に真逆。勿論これは狙いであろう。雰囲気モノと言われがりちな作品だが、その雰囲気は実に良い。美しい音楽、素晴らしい美術描写、丁寧な演出には十分な見応え、聴き応えを感じる。動きも良い。その辺を楽しめるかどうかでこの作品の好みは別れるだろう。何せ世界は崩壊したという結論が出ている。危うげな彼女達の素行を見て不安感を募らせるのは大人なら当然に思え、回をますごとに視聴者は減りそうだ。ただ、小さな旅を見守りたい方は観続けられるかもしれない。

感想)

主人公の二人を許容できるかどうか。絵的に性格的に。そこにかかっているかもしれない。第一話を見た時、私は「えー・・・」と拒絶反応が起きた。絵が余りにも違い過ぎて世界とまるで融和していない。1話で終えるつもりだったが、妙に視聴後の感覚に何も無いのが逆に気になった。美術の美しさ、音楽の良さ、元々子供の頃から破滅系物語が嫌いではなかったこともあり見ている。染み入るような作品。

これと似たコンセプトの海外アニメ映画を子供の頃に見たことがあり、それを思い出しているからというのも大きいかもしれない。その物語は核戦争後のもので、夫婦二人が田舎町で核も戦争も知らない間に全てが起き、二人は知らず日常を平和に生きているのだが、汚染により次第に被爆症状が深刻化し、その中でも必死に生き、愛を深めていきながらも最後に死ぬ物語だったと記憶している。子供の頃にその理不尽さと大人の馬鹿さ加減に号泣しながら、腹を立てながら、二人の愛と慈しみの深さに感動しつつ一人で見た。(タイトル忘れたけど北欧のアニメだったような)それと対比してい見ている自分がいる。物語や事象を理解するというより世界を味わうタイプ。

終末系というジャンル)

元々、世界の終末系は見過ごせない。世界が穏やかな時代ほど出土され、リアリティーが出だすと消えていくジャンル。(昔は多かった気がする)ちょっと思い出せないのだが、「地球最後の一人?」とか、他には男女一対の人類の生き残り、結局は死んでしまう物語とか幾つか読んだ記憶がある。有名作ではアイ・アム・レジェンド等は映画にもなったが、あの作品はまだ救いがある。何せ他に僅かでも人類がいる。それまで私が読んだ小説は、基本1人か男女ペアの2人だけで、避けられない終末しかない。全ての物語に共通しているのが、散々苦労して酷い目にもあって、結局は物語の最後に死ぬか、死を想起させる終わり方だ。(;´∀`)OMG!これが嫌で嫌でしょうがなかった。当時、「そんなら最初から希望を持たせずに『全員死にました』の一行で終われや!」と思ったものだが、寧ろ嫌過ぎて途中から積極的に見たり読んだりするようになる。

終末系物語の見応え、読み応えとしてあるのが作者の性格がストレートに出る点。そこを基軸にすると途端に面白くなる。作家の性格が実に解りやすく出るのだ。絶望に浸る人、抗う人、傍観者と主に3通りあると思い出される。「世界が終わっている」というのは共通で確か、それらは冒頭でわかる。それ対しての主人公達をどう向かわせるか。ここに作者の性格や世界への向かい方が伺える。その差を楽しむと言えばいいか。ほとんどの物語が結局は死ぬわけだが、どう向かい合って、どう死んでいくかに性格、性質が露骨に出る。死ぬのか生きるのかではない。死ぬのは当然と言っていいジャンル。(この物語がどうかはわからない)

庵野秀明氏もまた某有名作品の中で描いていた。絶望に浸るタイプ。太宰治等もそう。宮崎監督等は漫画の「ナウシカ」が特に色濃く描いているが、「もののけ姫」や「風立ちぬ」でもそうだが抗うタイプ。夏目漱石等も。(私はこうありたいと思っている)近年多く見られるのが傍観者。本作はまさに時代の風を感じる。これは良い悪いというより過ごしてきた時代と環境と人間性の違いと言っていい。そこを楽しめるジャンルでもある。

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